工務店の家守り術 私の「家守り」スタイル

> 2008年 11月30日  P80/P81/P82 掲載
 ・ 新建新聞社
   工務店のための実務ノウハウ  『新建ハウジング プラスワン』 No.461

私の「家守り」スタイル
  人の暮らしを支える工務店 (連載開始)

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〓 関わった人たちが、地域のなかで
楽しく生活するために、住み方さえ含めてアドバイスする 〓



家への意識を変えた高断熱・高気密住宅
 17年前、建築業界に身を置く前に建てた我が家。俗に言う普通の木造在来工法の、性能も何も考えなかった住まい。ただ雨風がしのげて、自分たちの好きなプランができればいい。家なんてそんなものだとばかり思っていました。

 そして、我が家を建てて3年後。建てた時の楽しさもあり、自分のように家を建てたい人を応援したい気持ちもあって、電子業界から建築業界に転身。いろはの「い」から勉強を始めました。

 山形に高断熱・高気密の住宅が見られるようになってきたのは、それからしばらくして。私が勤めていた工務店でも高断熱・高気密のモデルハウスを建設することになり、その完成見学会の段取りを任され、事前準備をしていた冬のことです。

 当時、私の意識では、家のなかは冬寒いのがあたり前。しかし、モデルハウスの玄関を開けると、誰もいないのに『ふわぁ~』と暖かな空気。まるで、家が人を待ってくれていたかのように―。

 カルチャーショックを受けると同時に、悔しさがこみ上げました。

 「自宅を新築して5年しか経っていないのに、こんな家を建てる技術があるなんて。5年前にこうした家を見ていたら、間違いなく建てていたはず」

 このとき、既築の家を「寒くない家」「温度のバリアフリーの家」に生まれ変わらせてやろうと、心に決めました。それが、いま私たちが取り組む断熱改修の原点です。

新築で性能を出せないと断熱改修はできない
 私は8年前に勤めていた工務店をやめ、現社長の五十嵐の独立を手伝うかたちで、親和創建の立ち上げから関わりました。平均年齢34歳の若い工務店で、社員8人のうち5人が大工の技術者集団。普及している一般的な技術で、冬寒くない温度のバリアフリーの家をつくろうと取り組んでいます。
 スタートからしばらくは新築オンリーでしたが、2003年に初めて断熱改修を実施。いまは「リノベーション」と呼んでいますが、当時は「断熱電化リフォーム」と言っていました。

 住みながら断熱改修するために、メリットの高いのは外張り断熱工法です。ただし、新築でしっかりした性能を出せる技術力があることが不可欠。Q値1・6W/㎡・k、C値0・5c㎡/㎡が最低基準で、これを新築で実現できなければ山形でリノベーションはできません。それくらいリノベーションは奥が深い。

 しかし、逆に言えば、性能は一定の技術があれば出せます。技術については専門家の解説書などを参考にしてもらったほうがいいと思うので、多くは触れません。

 その代わり、この項の『工務店の家守り術』というテーマに即し、私たちがリノベーションや新築を通じてお施主さんと、その家と、どんな思いでどのように関わっているのかをできるだけ具体的に紹介していきたいと思います。
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住み手の生活にどう関われるかが大事

 断熱改修をやっていると、同業者の方から「家の性能ってそんなに大事ですかね?」と聞かれることがあります。その答えは「私たちは何をやっている、どういう存在なのか」にかかってくる。

 結論から言えば、私は、私たちに関わった人たちが、地域のなかで楽しく、豊かに生活するために、住み方さえ含めてアドバイスできるのが工務店だと思っています。それはリノベーションでも、新築でも変わりません。

 家が新しくなり、いままでと生活が変わる。住み手は自分たちの望む暮らしを求め、それぞれに思いを持っていろいろな工夫をする。それに対し、いかにアドバイスできるか―。

 「どうせだったら快適に住もうよ。それも、できるだけエネルギー消費を抑えたかたちで」

 それが私たちの最も根本的なアドバイスであり、その元になるのが性能です。だから、基本性能に関する仕様は差別化もオプション化もしない。誰に対しても、同じものを提供します。

 また、引き渡しの時によくお施主さんに話すのは「(新築・改修だけで)家に100%満足することはないよ。住みながら満足は上がっていくんだよ」ということ。やっぱり家を大事に使い、生活をしていくなかで、いろいろなことを育んでほしいと思っています。

 そこに私たちがどう関わっていけるかが、一番大事なことではないでしょうか。

ネットワークの中心にいて顧客に情報伝える

 先日もお施主さんから電話がきて「温水式暖房の、タンクのお湯の設定温度は、高いほうが燃費がいいんじゃないの?」と開かれました。

 電気でお湯を沸かすものですが、私たちも最初に考えたのは、最高温度に設定しておいたほうが復帰率がいいのではないかということ。しかし、実際はそのほうが電気を食う。

 たとえば90℃に設定しておいて75℃のなったものを上げるのと、75℃に設定しておいて60℃になったものを上げるのでは、前者のほうがロスが大きい。これは以前、2件のモニターで実際に調べて分かったことです。

 だから、お施主さんには「高温に設定するのはやめたほうがいいよ」と。自分たちが給湯と暖房に必要なお湯の温度設定を上手にコントロールし、余分に温めないことが、電気をなるべく使わないようにするコツだと話しました。

 また最近は、全室24時間暖房とはいえ、本当にずっと入れ放しにしておく必要があるのか確かめたいと考えています。蓄熱型のシステムなら別ですが、私たちは温水式パネルヒーターなので、共働きの家庭であれば日中は消し、帰ったらスイッチを入れる使い方でいい気がする。

 このことを調べ、もし電気の使用量が下がれば、お施主さんたちに伝えたい。みなで温暖化防止にも貢献できます。

 そんな具合に、生活にまつわるいろいろな情報がお施主さんから発信され、私たちが仲介して、またお施主さんに発信していく。そうしたネットワークの中心にいるのが工務店だと思います。つくることだけが仕事ではない。

リノベーション[断熱電化リフォーム]
断熱材の建て込み
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初めて行ったK邸(酒田市)のリノベーション
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断熱仕様の比較
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着工2003.11初旬~2003.12下旬

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by shinwasouken | 2008-11-30 16:00 | 連載-新建ハウジング +1
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あなたの住まいを一緒に育てたい


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