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新しい魅力!リフォーム「断熱改修のすすめ」

> 2009年 8月 1日  P13/P14/P15/P16 掲載
 ・ 住まいと電化 vol.21
   新しい魅力! リフォーム

断熱改修のすすめ

〓 より良い住環境で
 地球にも人にも快適でエコな暮らしのために 〓
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断熱改修とは?!
断熱改修・‥なかなか聞きなれない言葉だが、簡単に言えば現在の住環境のレベルをあげ、より地球にも人にも優しい家に生まれ変わらせ住宅の資産価値をあげる方法のひとつ。リノベーションともいう。
 いままでの日本の住宅の多くは局所暖房を取り入れており、採暖という手をかざす暖房がメインである。なぜかと言えば、住宅の性能が貧弱だったのが大きな理由。本来、暖房という漢字は、房を暖めると書くことより全館暖房を指している。諸外国の寒い地域では、住宅性能が高く全館暖房が基本だが、日本人はつつましかった為に居ないところまで暖房することが悪いことのように思えていたのかもしれない。それがかえって住宅の寿命を縮めてしまう結果となり、ひいてはそこに住む人たちの健康さえも蝕んでいったと言っても過言ではないのだ。現在、日本でも北海道や東北などの寒い地方は、住宅性能が向上し海外の寒い地域と同じ様に全館暖房が主力となってきた。しかし、全館暖房をするということは、住宅性能のレベルを上げなければ限りある資源のエネルギーや住み手の光熱費の無駄遣いとなってしまう。そして、性能の良い住宅をつくるのは新築でないと出来ないものと思われている。そこで、これらの問題を改善しつつ、既存住宅でも新築と同レベルにする方法として断熱改修が考えられ現在展開されている(下図参照)。
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断熱改修の効果
 断熱改修をすることで、どんな効果が得られるかというと、住宅全体が温度のバリアフリーになる。身体への負担が少なくなる為、身体の調子が良くなり医療費が減少する。しかも、今までの住まいのように、住宅性能の貧弱さや暖房機器の影響の温度差による結露やカビ・ダニの被害も少なくなり、住宅の寿命も延び健康被害も少なくなる。そのうえ、部屋毎の温度差が少なく、寒い場所が無くなるので家中が100パーセント利用可能で、平均室温19℃~20℃の生活が出来る。もちろん冬のことばかりではなく、夏の冷房効率のアップにもなる。だいたいが、冷房運転ではなく除湿運転だけで涼しさを感じているし、きちんとした住宅性能があればエアコンの性能は小さくて済み、光熱費も削減となる。だから今までの生活空間も環境も見事に変わる。動きが楽になる。不快な湿気がなくなる。結露が起きない。結露によるカビが発生しない。気持ちが大らかになる。ゆとりが生まれる。など等‥・生活の根幹をなす住宅性能の向上は生活レベルの向上そのものといえる(下図参照)。
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断熱改修の効果②
 ここまでは、断熱改修をした後の生活に関しての内容だが、その前の段階も効果は大きい。たとえば、既存の住宅を使うわけだから、解体部位をより少なくすれば資源の有効活用が出来、建て替えのように解体し産業廃棄物としての処分費を丸ごと掛けることもなく半分以下の費用配分となる。そのうえ間取りの変更が少なければ、内部の補修は小さくなり改修コストも押えられる。しかも、そこで培ってきた家族の思い出も活かすことが出来、新たな思い出作りとなる。住み慣れた我が家が高性能に生まれ変わる。ご近所付き合いも、今までどおり。
 新築にはない利点が、こんなにも多くある。そこが、断熱改修のすごいところだ。

リフォームとの違い
 リフォームとの最大の違いは、家全体の温熱環境が変わることである。リフォームは住宅の部分的なところを改善すること。例えば、外装とか水周りとか。リフォームでも生活を快適に変えることが出来るが、住み手の身体への温度の影響に関しては、リフォームだけでは、局所暖房の説明と同じ様に部分的な改善にとどまり全体の改善までは難しい。断熱改修となれば、全体を隈なく調査し現状を確認したうえでの全体改修となる。
 今までの経緯から判断すると、築30年前後の木造住宅が断熱材を使い始めた頃に位置しているようだ。雨風を防ぐだけの住宅が、人を著さ寒さから守る方向になってきたに違いない。ただ断熱材の種類も当初は少なく、断熱材の施工も何も構築されていなかった。だから、断熱材の効果が発揮できず、外気に影響されるスカスカ住宅が当たり前だった。そんな温度差による原因等で、住宅の傷みが大きくなり解体をしなければならない場合が多かったのかもしれない。では、そんな住宅をどうするのか?本当に、家全体を快適な温熱環境に改善できるのか?断熱改修ってどんな工事をしていくのか?
 住み手の大半は、最初から断熱改修を望んだりはしない。なぜなら、そんな対処方法があることを知らないからだ。しかも、建築業界の中で創り手側が知らない場合あり、残念ながら住宅の温熱環境なんて建ててから住み手が判断するものと認識している場合が多い。だから住み手に断熱改修の提案が出来ないのである。創り手が自ら施工する住宅に関して温熱環境のシミュレーションが出来ないなんて恥ずかしいことなのだが…。

断熱改修の工事
 まず、床下から屋根裏まで確認できる範幽全てをさまざまな角度から調査する。そして、住み手から現住宅での生活スタイルや住宅の不満や不安部分を聞き取りし、不安部分を解体し現状の確認。当時の図面があれば現状との違いが無いかどうかなどをチェックする。そのうえで、住宅の温熱環境以外の改修をするのかどうかで計画を立てる。断熱方法については、充填断熱と外張り断熱・その両方をする付加断熱とがある(下図参照)。
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 現状のチェックで傷みが多く発見された場合やライフスタイルの変更、水周り全体や間取りの変更など改修部分が大きい場合は、現状をほぼ解体し、骨組みだけにしてからの工事となり、新築時の建て方以降での作業工程となる。この場合は、仮住まいへの移転が
必要となる(写真)。

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現状確認変にゾワゾワしていたという和室の畳を外してみたら・・・湿気でカビがびっしり。
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現状確認白蟻の蟻道。身を守りながら土台まで進む。おそるべし
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外部の被害雨漏りと白蟻の被害で柱・土台・筋交が悲惨なことに。
外壁を剥がしてみないと、壁の中の様子はわからない。

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解体作業外部への影響を考え、外部を傷めず内部の解体をしていく。
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解体作業浴室の窓台から内部に水が入って腐食。解体してみないとわからない現状。
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断熱施工本屋の瓦を降ろさず小屋裏内部より断熱施工。下屋部分は充填断熱施工中。
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改修前南側広縁 明るいが寒い。奥まっている居間が暗い。
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改修後リビングダイニング 広縁すべてが温度差無し。
昔からの欅の差し鴨居を利用し縦格子を優しい曲線で。


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改修前外観築27年。モルタル外壁の傷み。
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改修後外観外壁 樹脂サイディング(30年保証付き)

 逆に、外部の傷みだけで内部の改修が少ない場合は、ほぼ温存し外部の解体だけで断熱改修をするために、住みながらの工事も可能になる。どちらの方法にしても外部の傷みが多くなってきた時に、内の構造躯体の状況確認もしたうえで耐震補強も施し工事の段取りを構成するのが一番のポイント。材料の手配や確保。準備。関連業種との連携。この組立をきちんとしないと、あとで大変なことになってしまう。どの場合にしろ、既存住宅の為、現状の維持管理をしながら作業を展開する。通常であれば、とりあえず全部解体し、その後に作り込みを始めるが、断熱改修の場合、傷めてはいけない部分があるので、解体するとすぐ改修をして納めなければならない。例えば、天気状況をにらみ開口部の取り外しと取り付け、傷み部分の切除やその補強。耐力壁の施工と断熱補強まで、各部位の担当者がそれぞれ段取り良く作業をこなす。新築とは違い時間配分もかなりの細分化を要求される。誰もが出来るというレベルの作業ではない。新築住宅できちんとした温熱環境の住宅を創れることが最低のレベル。そして現場作業を担う全ての人たちとの信頼関係が大切な鍵となる。住み手・創り手が一体となり大切な住まいを作り上げるという確固たる信念が必要なのだ。住まいは、買うものではなく共に創りあげていくもの。断熱改修という工事は、それが如実に反映される。単なる仕事ではなく住み手の人生をサポートすることになる。重責であるが、完成後の住み手の満足度は新築住宅以上のもの。以前の住宅が比較対象になるのだから当たり前だ。だからこそ、これからの既存住宅の再生に“断熱改修(リノベーション)”という方法が欠かせない。
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断熱改修工事のコスト
 気になるコストに関しては、工事の大きさによって差はあるが新築工事の60%~80%程度。この中には、解体費用も入っている。当然、間取りや設備を変えればコストは大きくなる。このコストが高いか安いかは価値観の相違になるが、私としては、住み手が手に入れられる住環境への投資としては決して高いものではないと判断している。なぜなら自分自身、築18年の家を断熱改修し、住んでみての効果を実感しているからだ。さらに最近では温熱環境をきちんとした住宅ではより安全で安心なオール電化にする場合が多く、熱源が1つになるからこその省エネ意識が芽生えている。時間の有効活用や消費電力ヘの意識は、月々の光熱費に跳ね返るので目に見えた効果となり、その影響は大きい(図参照)。

まとめ(施主様の声・創り手の声)
 断熱改修後の住み手の声は、『改修だと思えない』『騒音・結露がほとんどない』『外〈風雨)の影響を全然感じない』『家全体をいつでも使える』『家に対しての愛着が深まった』『嬉しくて、友人を呼んでしまう』などなど感
謝の言葉が多い。その反面、創り手の声としては『新築以上のパワーが必要だ』『遣り甲斐が大きすぎる』などの大変だという声が多いが、技術集団としての腕の見せどころであり、住み手側の満足度が高いことで、その大変さもどこかに吹き飛んでしまうようだ。最近は、エコや環境にも大きく貢献していることも実証できているので、さらに追い風となっている。どこにお金をかけるのか?最新技術だったり、素晴らしいデザインだったり、材料だったり・‥それぞれ個人の考え方で違うだろうが、そこで住み手が生活をしていくということには間違いがなく、住みこなし方を知らずに過ごすとせっかくの住宅がただの箱になってしまう。これからの創り手は、住みこなし方さえも住み手に伝授していくことが必要であると考える。

by shinwasouken | 2009-08-01 16:00 | 掲載-住まいと電化
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あなたの住まいを一緒に育てたい


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