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工務店の家守り術 私の「家守り」スタイル③

> 2009年 4月30日  P28/P29/P30/P31 掲載
 ・ 新建新聞社
   工務店のための実務ノウハウ  『新建ハウジング プラスワン』 No.476

私の「家守り」スタイル
  人の暮らしを支える工務店 -その3-

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〓 外壁張り替えとともに断熱強化。
内部の解体を極力減らすことで、住みながらの断熱改修が可能 〓


外壁とともに断熱改修 内部は隈定し住みながら

 対象は築18年の建物。外部の傷みが激しかったため外壁を全面的に張り替えるという内容ですが、合わせて内部の確認とともに断熱改修まで行い、今後の生活の快適性と住宅の資産価値を高めようということになりました。

 その際、内部に関しては極力、解体部分を減らすことを提案。解体すると産業廃棄物が多く発生しますから、費用もかかるし地球環境にも悪い。間取りの変更を最小限にとどめられるのであれば、住みながらの工事も可能な選択となります。

 既存の仕上げ材料も、そのまま内装下地としてできる限り使用するかたち。差し障りがある部分のみを、取り除いて廃棄処分にしました。

 たとえば、いままでの床材を補強材代わりに用い、新規の床材をその上に施工する。また壁はクロスを剥がし、補強の意味を含めて石こうボードのジョイント部のビス止めとパテ処理を行ったところに、仕上げ材を施工する。

 そのようにして、内部は全面の張り替えではなく、建物のバランスの悪さによって歪みが発生していた個所のみ補修するという具合です。

断熱改修でC値0・9Q値1・5を実現する

 一方、外部に関しては全面的な外壁改修となるわけですから、解体は仕方ありません。Ⅰ地域レベルの断熱・気密性能の確保を条件として、次のような断熱改修を行いました。

 屋根は、本屋は瓦を降ろさず、小屋裏から垂木間にフェノールフォーム35mmを充てんのうえ下から50mmを付加。小屋裏利用のない天井部分は合板の上に50mm、下に100mmの高性能グラスウール24Kを充てんしました。また下屋は瓦を降ろし、既存の屋根下地材の上にフェノールフォーム35mm+50mmを外張りしました。

 壁は、内部の解体のない部分に関しては、外側より高性能グラスウール100mm24Kを柱間に充てん。耐震補強のための構造用合板を張り、そこへフェノールフォーム50mmを外張りして付加断熱しました。

 基礎は布基礎でしたが、基礎断熱することとし、外側にスチレンフォームB3種75mm、内側に同30mmを施工。さらに床下全面に防湿防蟻シートを敷いて湿気上がりを断ち、基礎外周の内側には同じくスチレンフォーム25mmを敷き込んで断熱施工しました。

 各部位の断熱・気密施工は、連続性が重要です。断熱欠損が起きないよう注意し、気密部材を適切に使用していきます。

 開口部は、樹脂サッシLow-E・Arガス入りのトリプル窓に入れ替えて断熱を強化。同時に南面は太陽熱を有効に使えるプランニングにしています。

 その結果、リノベーションでありながらC値は気密測定で0・9c㎡/㎡。熱損失係数Q値はシミュレーションで1・5W/㎡・kになりました。実測ではそれ以上の性能結果が出ています。
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住まい方の工夫も促し省エネで快適な生活

 換気は第三種、暖房システムは温水器550L1台での温水パネル暖房と高効率エアコン仕様。それで間欠暖房します。断熱・気密性能が高いので、間欠運転に制御しても、ヒートショックを起こす10℃以上の温度差が家に生じません。

 2~3℃の温度差は許容範囲という観点で、寝る1時間前にコントロールタイマーで温水を送るポンプをオフに。朝は5~8時まで運転し、日中は夕方まで保持カで対応します。多少寒いときはエアコンを1~2時間ほど運転し、夕方4時からパネルヒーターの再運転に切り換えま
す。

 温度・湿度のバランスを上手に管理、調整することでエネルギーロスを減らし、42坪の家全体を快適な温熱環境にしています。また給湯はエコキュート460Lで、第三種換気の排気を温水器設置室の空間に入れ込み、エコキュート室外機の背面に吹き出させて排熱利用しています。

 これらを総合し、光熱費は以前の1/3以下になる見込み。建物のつくり方と住まい方の工夫により、既存の住環境を、小さなエネルギーで熱源をまかなえる省エネで安心安全な住環境へ変えていくことが、断熱リノベーションの目的です。

 今回は住みながらのリノベーションですから、お施主さんは実際、家の性能が手に取るように変わっていくのがわかります。半面、どんなに養生をしっかりやっても、工事中は家のなかが汚れてしまいます。

 つくり手・住まい手のどちらも『お互い様』『ご苦労様』の気持ちがないとできない仕事。双方がやれることをやり、ともに創り上げていくことも大きなポイントです。

「住みながら」の断熱改修のポイント
①傷んだ個所の見極めと改修範囲の明確化
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雨漏りによるベランダ立ち上がりの木部の傷み

 最初に大事なのは、施主が改修を考えるきっかけとなった不具合の発信する「信号」を、工務店がしっかり読み取ること。ヒアリングで不安点をあげてもらい、その要因をできる限り特定する。そして、床下などは潜ってみることで傷みの程度を検証、必要な対策を確認したのち工事に入っていく。

 こうした前段階を経て、今回は外部(一部木部)の傷みが激しかったために外壁を全面改修。合わせて断熱強化を図ることとし、内部は必要な部分のみの補修に留めた。

 内部の解体を最小限に留めることで、廃棄物の発生を抑え、住みながらの改修も可能になる。ただし、住みながらの改修はつくり手・住まい手ともにストレスなので、ともにつくるという意識を共有することが重要だ。
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内部は範囲を限定して計画することで住みながら断熱改修

②断熱手法の組み合わせと適切な施工
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壁は基本的に外張り断熱で改修

 外壁を壊して構造用合板で補強するため、壁は基本的に外張り断熱。ただし軸間にも充てんし、付加断熱とする。壊す範囲や壊し方、壊したときの状態によって適切な断熱方法を選択。そのうえで、欠損が生じないよう断熱・気密の連続性を保つ。開口部の強化も重要になる。
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軸間にもグラスウールを充てんして付加断熱

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小屋裏の気密施工。欠損が生じないようすき間をふさぐ

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基礎断熱して床下を防湿

③住まい方の工夫を促す
 温熱環境が変わり住みこなしが便利になることで工夫が生まれ、住まい手はエコな生活を考え始める。上手な住みこなしによってエネルギー使用量を削減し、投資以上に大きな成果が生まれるようにする。



断熱リノベーションの効果
 温熱環境がよくなると、部屋の温度差、結塵やカビがなくなり、身体への負担が少なくなって、住みこなしの工夫を考える余裕が生まれる。メンテナンスの負担も軽減され、家の長持ちにつながっていく。
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by shinwasouken | 2009-04-30 16:00 | 連載-新建ハウジング +1
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あなたの住まいを一緒に育てたい


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